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腎は肝腎1

腎臓は生命維持に重要な臓器で、血液中の老廃物や不要物の濾過・排泄と余計な水分の排出を行っています。腎機能が低下すると最終的に血液透析などが必要になりますが、かなり低下しないと浮腫などの自覚症状はでないので、早期発見は困難です。またかなり低下した時点では治療法が限られます。腎機能を評価する場合に重要な指標が2つあります。糸球体濾過量と尿蛋白で、それぞれ意義を以下にお示しします。

糸球体濾過量(GFR)

GFRは、腎臓にどの程度の濾過排泄能力があるのかを示す数値です。低下するほど腎機能が低下していることを示します。GFRが60より低値だと慢性腎臓病Chronic kidney disease(CKD)の基準を満たします。通常診療では採血をして,血清クレアチニン(Cre)値からGFRを推測し、推算糸球体濾過量(eGFR)として示します。Creの問題点としては、その検査値を見ても分かりにくいことです。例えば、表に示すとおり50歳男性でCreが0.8のときeGFRは80.6ですが、Creが“たった”0.3上昇して1.1になるとeGFRは56.9となりCKDの基準を満たすことになります。男性の基準値の上限は1.09でeGFRが57.4とCKDの基準を満たしています。健康診断でCre1.09は基準値内ですので、“異常なし”となってしまいます。
  さらに労働安全衛生規則第44条で規定される定期健康診断の必須項目には入っていないことがあり、Creの測定自体を受けてない人が多く、多くの治療可能なCKD患者が放置されている可能性があります。
  CreからもとめられるeGFRはあくまでも計算式で実際のGFRを“推算”しているので、完全なものでは有りません。確認のために血清シスタチンCを測定して、eGFRを計算することもあります。

表 50歳男性のCreとeGFR

Cre mg/dl
(男性0.65−1.09)
eGFR
ml/min/1.73m2
Cre mg/dl
(男性0.65−1.09)
eGFR
ml/min/1.73m2
0.6 110.4 1.2 51.7
0.7 93.3 1.3 47.4
0.8 80.6 1.4 43.7
0.9 70.8 1.5 40.5
1.0 63.1 1.6 37.7
1.1 56.9 1.7 35.3
尿蛋白

左右の腎臓に100万個ずつ存在する糸球体において、一定の大きさ以下の物質が濾過されます。濾過された原尿から必要な物質が尿細管で再吸収され血液にもどり、最終的に尿になります。腎臓に障害があると糸球体に障害がおき、本来濾過されないはずの大きさのたんぱく質が尿に混ざるようになります。代表的な蛋白質が、血漿中に最も多く存在するアルブミン(分子量約66000、粒子径約6nm)です。糸球体にはアルブミンをぎりぎり通さない程度の穴が開いています。糸球体の障害が始まると尿中にアルブミンが漏れ始めます。アルブミンをチェックすることで、糸球体の障害を早期に見つけることができます。障害が更に重度になると、穴の大きさが大きくなり免疫グロブリンIgG(分子量約150000)、IgM(分子量約900000)も尿に漏れてきます。障害が更に強い場合は、糸球体に赤血球(粒子径約5µm:アルブミンの1000倍)も通れるような巨大な穴があき、血尿となります。ただし、通常診療で遭遇する血尿の殆どは、糸球体からではなく、尿路、膀胱由来です。
  尿蛋白の測定は健診で使われるテストテープを用いた測定と、尿中アルブミンの測定が行われます。尿中アルブミンの測定は大変鋭敏なものです。糖尿病性腎症では尿中アルブミンの出現がGFRの低下よりも早く出現するので、糖尿病では尿中アルブミンの測定が有用です。

慢性腎臓病(CKD)は①尿検査、画像診断、血液検査、病理などで腎障害の存在が明らかであり、特に0.15g/gCr以上のタンパク尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)がある、もしくは、②糸球体濾過量(GFR)<60ml/分/1.73m2の①、②のいずれか、または両方が3か月以上持続