日本透析医学会による“わが国の慢性透析療法の現況”によると、2019年に血液透析が開始された人の原疾患の割合は、糖尿病性腎症41.6%、慢性糸球体腎炎14.9%、腎硬化症16.4%、多発嚢胞腎2.4%、慢性腎盂腎炎、間質性腎炎0.6%、急性進行性糸球体腎炎1.5%、自己免疫性疾患に伴う腎炎0.5%、不明13.9%となっています。本来の腎疾患、慢性糸球体腎炎、多発嚢胞腎、慢性腎盂腎炎、間質性腎炎、急性進行性糸球体腎炎、自己免疫性疾患に伴う腎炎を合わせても19.9%にしかなりません。腎硬化症はコントロール不良の高血圧症の結果ですので、糖尿病性腎症と合わせると58.0%が生活習慣病由来になります。原因不明のなかにも生活習慣病由来が多く含まれていることが推測されます。
当院に通院中の生活習慣病の方の中にも慢性腎臓病CKDの診断基準*を満たす方がいます。悪化して最終的に血液透析にならないための対策としては、血圧のコントロール、尿酸値のコントロール、水分摂取の励行、血糖コントロール(糖尿病の方)を行います。高血圧は腎硬化症の原因でもありますので、高い場合は薬剤などでコントロールします。尿酸値は食事のコントロール、水分摂取の励行のほか、アロプリノールなどの尿酸合成阻害剤を用いてコントロールします。基本的に水分の処理能力は腎機能が相当悪くなるまで保たれますので、心臓などの問題がない場合は基本的には水分摂取を多めにした方が腎臓にとって良いです。
*慢性腎臓病(CKD)は①尿検査、画像診断、血液検査、病理などで腎障害の存在が明らかであり、特に0.15g/gCr以上のタンパク尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)がある、もしくは、②糸球体濾過量(GFR)<60ml/分/1.73m2の①、②のいずれか、または両方が3か月以上持続