厚労省の発表によると、ファイザー社製とモデルナ社製の新型コロナウイルスワクチン接種を受けたあとに死亡が確認された人は、2021年8月8日時点で1002人です。接種と因果関係があると結論付けられた人はないとされています。とはいえ、1002人という数はインパクトがあります。mRNAワクチンという新しい仕組みを使用していることもあり、不安になる人がいても不思議ではありません。
日本での新型コロナワクチン接種は、医療従事者と高齢者に対してファイザー社製ワクチンから始まり、その後モデルナ社製ワクチンを用いた大規模接種と職域接種が始まりました。その後アストラゼネカ製ワクチンも接種開始されましたが、ごく少数です。8月22日の時点で、ファイザー社製ワクチン1億180万回、モデルナ社製ワクチン1650万回の接種が完了しています。職域接種を受けたほとんどの人が64歳以下です。大規模接種でも、65歳以上を対象として始まりましたが、枠が埋まらずすぐに64歳以下に開放されました。ですから、モデルナ社製ワクチンを用いた大規模接種と職域接種は多くが、64歳以下の人に接種されたことになります。一方、65歳以上はほとんどの人がファイザー社製ワクチンを受けたと考えられます。結果として、日本では2つのmRNAワクチンが異なる年齢層に接種されることになりました。
「新型コロナワクチン接種後の副反応への対処方法」(厚労省HP、2021年9月9日)によると、発熱、倦怠感、頭痛の副反応については、モデルナワクチンの方がやや多く発生しています。ファイザー社製ワクチンのmRNAが30μg、モデルナ製ワクチンのmRNAが100μgであるのと関連あるかもしれません。ところが、ワクチン接種者100万人あたりの死亡は、ファイザー社製が100万人あたり19.6人で、モデルナ製が100万人あたり1.2人と、副反応の少ないファイザー社製が16.3倍と圧倒的に多くなっています。
もしワクチン自体で死亡を引き起こしているなら、同じ仕組みのワクチンでこれだけ差があるのは説明がつきません。グラフに2020年の人口動態統計を示します。年齢とともに死亡率は上昇し、65歳以上では指数関数的に高くなります。ワクチン接種を受けたあとの100万人あたりの死亡数におけるファイザー社製ワクチンとモデルナ社製ワクチンとの差は、接種者に65歳以上の高齢者を含んでいるか否かの違いで説明がつくと考えられます。
医療に100%はありえませんが、現状の感染状況や今後の感染予測を考えますと、現時点で特別な禁忌のない人以外は、mRNAワクチンの接種を受けるのが望ましいと考えられます。