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バリウム造影で慢性胃炎を指摘されたらピロリ菌検査と内視鏡を

  2013年にピロリ菌陽性胃炎に対するヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)除菌療法が保険適応になって10年が経ちました。以前より企業Aの胃バリウム造影の判読をしていますが、2013年当時はピロリ菌陽性慢性胃炎の所見を認めることが多く、精査の内視鏡で私だけでも年に5から10例の早期胃がんを見つけていました。バリウム造影のみで見つかる進行胃がんもありました。企業Aでは健康管理もきっちりしていたため、ピロリ菌除菌が浸透しました。最近では、胃バリウム造影所見での慢性胃炎の割合も減少して、内視鏡で胃がんが見つかることも稀となりました。ピロリ菌除菌療法の胃がん発生に対する予防効果を実感しています。最近企業Bでの胃バリウム読影も始めましたが、ピロリ菌陽性疑いの慢性胃炎も多く、進行胃がんも見つかります。2013年当時の企業Aのバリウム造影を見ているようでした。毎年バリウム造影を受けてはいても、“慢性胃炎で経過観察”を繰り返し、内視鏡からピロリ菌の除菌には至ってない方が多いようです。
  胃がんは原則として慢性胃炎を背景として発生します。そのため、バリウム造影での慢性胃炎を内視鏡でスクリーニングすれば早期胃がんの形で発見できます。バリウム造影で早期胃癌を発見するのは、内視鏡と比較して難しいですが、バリウム造影で慢性胃炎の有無は内視鏡なみに分かります。ですから、バリウム造影で慢性胃炎を指摘されたときは、一度はピロリ菌のチェックと内視鏡による検査を受ける意義があると思います。