腸管内には栄養素の他、様々な細菌、有害物質などが存在していて、体内に存在する外界と言えます。腸管は動脈血を受けますが、腸管からの血液は腸間膜静脈から門脈を経て肝臓に入ります。門脈には腸管から吸収した栄養素の他、腸管の粘膜筋層のバリアでブロック出来なかった細菌、有害物質なども存在しています。門脈から肝臓に入った血液が、小葉構造を通る過程で細菌、有害物質などが処理されて、肝静脈からきれいな血液として大静脈を経て心臓に戻ります。このように肝臓は腸管からの細菌や有害物質などに対するフィルターの役目をしています(図1)。
健康な牛の肉(骨格筋)は、仮に外部が汚染されていても内部は無菌です。周りを焼けば生食可能です。一方、肝臓の中には処理中の細菌が均一に存在しています。外を焼いても中には細菌が存在するので、生食不可です(図2)。
生食可能なのは、生食用食肉の基準を満たした牛肉、馬肉だけです。
図1
図2